『新月』

沼で生まれたときも、蛙だったときも、
意地悪だったときも、悪夢の夜も、
真っ暗闇の山の中でも。時を飛んだ不思議な世界も。

いつだって、こっそりと、
ずっとずっとそこにあるのは、
一番近い空の星。
闇に光る細い月。
漆黒のベルベットの艶の中に光る、黒猫の目。
細い光が照らす、白いページのおとぎ話。

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